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はじめに
前回は「決算書」について学びました。その中で財務3表「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュ・フロー計算書」を取り扱いました。今回は、「キャッシュ・フロー計算書」の3つの資料「営業活動によるキャッシュ・フロー」(以下、「営業」とします)「投資活動によるキャッシュ・フロー」(以下、「投資」とします)「財務活動によるキャッシュ・フロー」(以下、「財務」とします)を解釈して、企業をパターン化してみましょう。
キャッシュ・フローで企業をパターン化
3つのキャッシュ・フロー計算書(営業、投資、財務)が「プラス」なのか「マイナス」なのかで考えてみましょう。ここでは、プラス・マイナスの大きさについては考えずに、2×2×2=8通りのパターンにわけてみることにしましょう。
優良企業型(営業:+ 投資:- 財務:-)
営業キャッシュフローがプラスなので、本業で儲けを出すことができている企業です。投資がマイナスなのは、投資活動をしているということなので一般的には望ましいです。本業の儲けの一部の投資であれば全く問題なく、理想的と言えます。財務活動がマイナスなのは、借入金や社債の償還などができている、という状態のなので、特に問題はありません。
成長企業型(営業:+ 投資:- 財務:+)
本業で儲けを出して(営業キャッシュフローがプラス)、投資活動もしており(投資キャッシュフローがマイナス)、資金調達もしている(投資キャッシュフローがプラス)パターンです。ベンチャー企業などに多いパターンで、投資効果を見守る必要があります。
事業転換型(営業:+ 投資:+ 財務:+)
すべてのキャッシュフローがプラスのパターンです。本業で利益はだしているものの、資金調達をして投資を続けているということになります。事業の転換を図るために資金を調達しているときなどはこのようなパターンとなります。事業を転換する理由やその内容を確認する必要があります。
事業検討型(営業:- 投資:- 財務:-)
逆にすべてのキャッシュフローがマイナスのパターンです。本業で利益を出せていない状況なので、過去に生み出したキャッシュで投資をしています。この状況で借入金の返済をしている、ということになります。過去の実績はあるが、主力事業が低調な企業がこのパターンになります。主力事業に代替するキャッシュを生み出す事業があるかの見極めが必要になります。
再建型(営業:- 投資:- 財務:+)
本業で利益をだせていないが、資金調達をして投資をしているパターンで、再建する途中の企業にみられる。再建の効果が出るまでの業績、資金繰りの確認が必要になります。
ダウンサイジング型(営業:+ 投資:+ 財務:-)
本業で利益を出しているものの、保有資産を売却して(投資キャッシュフローがプラス)、借入金の返済をしている(財務キャッシュフローがマイナス)ため、事業縮小を計画している企業に多い。事業縮小後の効果を見極める必要がある。
やや注意型(営業:- 投資:+ 財務:-)
本業で利益を出せない状況で、保有資産を売却して(投資キャッシュフローがプラス)、借入金の返済をしている(財務キャッシュフローがマイナス)ため、注意が必要となるパターン。金融機関からの融資の状況などの確認が必要となる。
要注意型(営業:- 投資:+ 財務:+)
本業で利益を出せておらず、また、保有資産を売却して、さらに借入金が増加しているため、注意が必要となるパターンとなる。直近の業績と資金繰りの両面をよく確認する必要がある。
まとめ
今回はキャッシュ・フロー計算書を扱いました。キャッシュ・フロー計算書には3つの計算書がありました。それぞれが「プラス」「マイナス」であるかによって8つのパターンにわけてみました。実際には「プラス」「マイナス」だけではなく、その大きさも重要となってきますが、まずはこのパターンを頭に入れておくとよいでしょう。そのうえで、いくつか選定した企業の比較をしてみるとよさそうです。
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