はじめに
知識0から株式投資について学んでいきます。今回は企業の成長率について考えます。当然、中長期で保有する株式を選定するのであれば、成長性のある企業へ投資をしたいと考えるでしょう。では、「成長性」とはどんな指標で測るのでしょうか?成長性を測る指標は1つではありません。一つ一つ見ていきましょう。
成長率を表す指標
成長率を表す指標にも様々なものがあります。売上成長率はその名の通り、売上の成長率を表しています。その他にもROEやPEGレシオといった指標などもあります。順にみていきましょう。
売上成長率
売上成長率は次の式で定義されます。
単純に売上高の伸び率です。ただ、この指標はあくまで前年に対する今年度の売上高の伸び率なので、「将来の伸び率」ではありません。成長性を考える場合は、もっと長期スパンでみるほうがよいので、あくまで参考かと思います。
PEGレシオ
PEGレシオは、株価に対する企業の成長性を分析する指標です。次の式で定義されます。
この式をみればPEGレシオは、企業の利益成長に対するPERの割合とわかりますね。つまり利益成長率の高い企業であれば高いPERでもPEGレシオが低くなります。逆に一見低いPERの企業だとしても利益成長率が低ければPEGレシオの値は大きくなります。
この式の分母の利益成長率は、今年度と来年度の予想成長率の平均を用いるとよいでしょう。PEGレシオが最も有効なのは成長性のある中小型株であるので、過去の業績だけでなく今後の成長性を加味してPERとの関係を分析することが重要となります。
ただ「利益」にもいろいろ種類があります。どれを使うかは特に決められているわけではありません。個々人の判断によるようです。
基準としては、PEGレシオが1を下回ればその株は割安である可能性があります。PEGレシオは「ビジネスが市場に認知されシェアを拡大中企業」「景気が回復して中長期的に上昇トレンドの企業」を見つけるのに役立ちます。
ROE
ROE(自己資本利益率)は「その株に投資してどれだけ利益を効率良く得られるか」を表し、次の式で定義されます。株主資本利益率ともいわれます。
ROEが高ければ、株主資本の成長が大きいと解釈することができ、企業の成長性を考える材料として利用することができます。絶対値でいくつ以上あるとよい、というのはなかなか示せないのですが、目安として15%以上はあったほうがよさそうです。
ただ、ROEは負債が考慮されないため、手持ち資産の中で「負債」の比率が多いとROEが高く算出されます。つまり「負債」が多い会社も抽出されてしまいます。そこで、ROAという指標も組み合わせて考えます。
ROA
ROAは(総資本利益率)です。ROAは分母が純資産ではなく総資産(純資産も負債も資産として含めたすべての資産)になります。「負債」を考慮した指標なので、ROEとROAの2つの指標を組み合わせるとよいでしょう。
あくまで参考ですが、
- ROEは10%以上だと投資価値がある会社
- ROAは5%以上で投資価値がある会社
と判断することがあるようです。
まとめ
今回は成長率をみる指標について整理してみました。このような指標は、なかなかいくつ以上あればよい、とは言い切れないので、いろいろ比較してみて決めるとよいのでしょうね。
前回はPERやPBRが割安株を見つけるのに参考になる、今回は売上成長率やPEGレシオ、ROE、ROAが成長性を判断する参考になる、ということを学びました。
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